小矢部市防災士連絡協議会会長の堀内です。
津沢小学校の児童の質問を、先生がまとめて、理事の三輪さん経由で、7月12日に私の方に質問が来ました。
適当で曖昧な回答をしたくなかったので、調べても分からない事は、市役所総務課に聞きに行き、7月23日に回答しました。
非常に良い質問だったので、回答と一緒に掲載します。
小矢部市以外の方が読んでも分かるように、❲説明❳を加えておきます。
先生に確認してもらい、津沢小学校から掲載の許可はいただきました。
時間がかかってすいません。
分かりやすく子供向けにできませんでした。
池上彰の様にはいかなかったです。
完全に大人向けで回答します。(【避難所について】の回答は、子供達には衝撃的なので、上手く解説してください。)
子供達の、疑問完全解消と命を守る事を目的として、少し過剰な見解と、現実的対応策を回答しました。
またこの回答は、個人的な見解がかなり含まれており、100点満点の回答とは言えません。
池上彰の役は先生に委ねます。(分かりやすく解説してください。)
ただ二重8の字結びの所だけは、説明できずお手本も、見せられないので無理です。
❲9月27日に津沢小学校で行われる、総合防災訓練で、子供達と同じ会場にいるので、実際にロープを使用して、覚えてもらう予定です。子供達は感染症対策で自由に移動できず、見学はすぐに飽きる筈なので、子供達には丁度良いです。❳
【災害発生時】
Q①土砂災害は山に住んでいなくても、遭遇する可能性はありますか。
A①山から離れた平野部なら、直接被害を受けませんが、土砂が川や用水路を塞き止めて天然のダムができ、そのダムが決壊して鉄砲水(土石流)が発生して、被害を受ける可能性はあります。
Q②警報レベルはどのレベルで避難することを判断すべきなのでしょうか。
A②レベル1と2で避難準備をして、テレビやラジオやインターネットで、どこの地域が避難対象で、どこの避難所が開設されるのか、常に見れたり聞けたりできるようにしておきます。
レベル3は家族に移動に時間がかかる人(高齢者や障がい者や乳幼児)が、いる場合避難します。
いない場合でも避難して構いませんし、避難所に到着したら避難所開設の、手伝いをお願いします。
レベル4はレベル3で避難しなかった人が避難します。
レベル5は災害が発生していて、避難が手遅れになる場合が多いので、必ずレベル3か4で避難してください。
Q③ハザードマップの浸水予測がひざ下までの家なのですが、避難する必要があるでしょうか。
Q④避難指示が出た場合に、「避難しない」という選択は大丈夫ですか。
(「家の周りの道が用水に囲まれていて危険。」「避難所が遠くて不安。」「子供だけで留守番していたときに行くのは不安。」など自宅待機を選んだ人は本当に大丈夫なのかを知りたい。)
A③④まず住んでいる家が、一般的な木造2階建てと設定させてください。
ハザードマップの浸水深で考えると、浸水深3mが予想される所は、1階の天井位まで水が来るので、自宅待機は2階へ避難すれば可能です。
浸水深5mが予想される所は、 2階の天井近くまで水が来るので、天井裏か屋根の上しか逃げ場がないので、自宅待機するべきではありません。
家の強度で考えると、1981(昭和56)年までに建てられた家は、家が地面に乗っているだけの様な構造が多いので、浸水深0.5mの所でも不安があります。
2000(平成12)年までに建てられた家は、基礎から柱まで繋がってはいますが、浸水深3mだと家に浮力がかかり、横から水の押す力が加わるので不安ですが、浸水深0.5mなら耐えられます。
2000(平成12)年から後に建てられた家は、基礎から柱まで強固に繋がっているので、浸水深3mでも耐えられます。
以上の事から古い家と、浸水深5mやそれ以上の深さが予想される所では、避難しないという選択肢はありません。
浸水深と家の強度によっては、避難しないという選択肢もあります。
ただし避難しない準備が必要です。(水道が使えずトイレも流せず孤立します。)
【避難する時について】
Q⑤車で避難すべきか、歩きで避難すべきか分からないです。ハザードマップには渋滞になるから車に乗ったらいけないと書かれているけど、家族にお年寄りや体が不自由な人もいて車の方がよいと考えています。また、車の方が早く避難できるからよいと考えています。そして、車で避難するとしたら判断するタイミングはいつ頃がよいでしょうか。
A⑤先に車の水没について説明します。
タイヤの中心を越えて水没したら、動かなくなると思ってください。
タイヤが全部水没したら、流されると思ってください。
5cm程度の水位しかなかったとしても、他の場所では深くなっている可能性があります。
道路の端(開いた側溝や用水路との境界)が見えなくなったら、車で避難しないでください。
渋滞が心配なら、レベル2で車を出せるように準備しておき、レベル3になったらすぐに、洪水時に指定されている避難所に向かいます。
常にラジオなどで情報収集しておく事で、内水氾濫(用水路や下水道から溢れた水)などで通行規制が出たり、避難所が変更になっても、対応できるようにします。
避難所に到着したら指示された場所に、車を整列させて駐車してください。
勝手に駐車されると、避難所運営の邪魔になります。(物資の搬入や緊急対応の邪魔です。)
Q⑥避難するときの道が水であふれていた場合、どのように避難すればよいでしょうか。
A⑥洪水の中を歩いて避難する場合は、膝の高さの水位になるまでに、避難を終えていないといけないと言われています。
脛の高さの水位で、流れがゆっくりの場合なら移動可能ですが、くるぶしの高さの水位でも、流れが速い場合は危険なので、移動しないでください。
都会の地下鉄に流れ込む洪水の水は、透明で足元が見えますが、小矢部で発生する洪水は、泥水で足元が見えません。
つまり冠水した場合、開いた側溝や用水路が、どこか分かりませんし、側溝やマンホールの蓋が、外れて開いていても分からず、危険な物が沈んでいても分かりません。
その中を移動する為には、複数で繋がって助け合い、足元を確認しながら移動しなければいけません。
繋がる為のロープの太さは、結びやすく食い込んで痛くならない、9㎜程度が良いです。(12㎜でも良いですが子供には結びにくです。6㎜は引っ張られると食い込んで痛いです。)
ロープの材質は、引っ張っても切れずに柔軟なら、何でも良いです。(安くてカッターで切れる、PPロープでも構いません。)
繋がる為のロープの結び方は、二重8の字結び(他の結び方は難しい。お手本を見せれず残念です。)で、輪の部分に胴体を通して、腰を絞めすぎたり、緩くてすぐに下がらないように結びます。
間のロープの長さは、手を繋げる長さにします。(短すぎると隣の人の邪魔になり、長すぎると漂流物が引っ掛かり危ないです。)
体力のある人とない人で交互に繋がり、体力のある人がない人を補助します。
10mのロープなら、大人4人まで繋がれます。(一人づつ結ぶので、もたつかないように練習が必要です。)
進む先の足元(水中)が、どうなっているか分からないので、先頭の人は棒(園芸の棒やシャッターの棒などなんでも良いです。)で、足元を確認しながら進みます。
先頭の人は、前方を1m以上の幅で地面を細かくつついて、確認しながら慌てず進み、後続は必ず先頭の歩いた所を通ります。
転倒した場合はすぐに皆で助けますが、その際に先頭の人は棒を離さないように注意してください。(心配なら棒を細めのロープで、手首や腰のロープと繋げれば良い。)
移動中に水位が膝の高さを越えたり、速い流れで危険を感じたら無理をせず、周辺のアパートなどの、階段踊り場や2階通路に上がります。
絶対に無理をしないで、命を守る行動をしてください。
Q⑦避難するときに適した服装はあるでしょうか。
A⑦雨の中の移動になると思うので、カッパなどの雨具を着ますが、傘は邪魔なので使わないでください。
何が流れて来るか分からないので、足が露出する短パンやスカートなどは履かず、ズボンなどを履いてください。
水の中を進むので、長靴を履くと中に水が入り動きづらくなるので、運動靴などを履いて、肌が露出しないように靴下も履いてください。
洪水の水は綺麗ではないので、避難所に到着したら、洗うか拭くかしてください。
Q⑧ハザードマップに、もっていくべきものが書かれているのですが、たくさんのものがあり全部もっていくのは大変そうでした。避難所にもっていくとよいものはありますか。
A⑧最低限の物で考えると、現金、通帳·免許証·保険証のコピー、非常食3日分、水(大量には持てない)、救急用品(持病の薬は必須)、生活用品(下着や眼鏡など)、ライトとラジオです。
あれもこれもと考えると、多すぎて運べなくなります。
生き残るという目標で、優先順位を付けて選びます。
❲津沢地区の説明❳
津沢地区は北陸地方の、富山県の西の端(石川県に隣接)の、小矢部市の南の端に位置し、東は砺波市と、南東から南にかけて南砺市と、隣接しています。
小矢部川は南から北へ流れており、西へ湾曲した所の東側に市街地があり、市街地の北西側の小矢部川のそばに、津沢小学校があり、市街地の南側の小矢部川のそばに、津沢中学校があります。
津沢地区の北に隣接する、水島地区は同じ校区になります。
市街地の北東側に、津沢コミュニティプラザ(公共複合施設)があり、津沢コミュニティーと呼ばれています。
【避難所について】
Q⑨津沢コミュニティーに避難所しようと思っています。津沢コミュニティーは2階がないのですが、避難しても大丈夫なのでしょうか。また、ハザードマップでは、津沢小学校、津沢中学校は洪水時に避難できないことになっていますが、頑丈で2、3階があるので洪水から身を守れると考えます。学校に避難してはいけないのでしょうか。
A⑨津沢コミュニティプラザは、浸水が5cmの深さなら問題無いと思いますが、浸水が50cmの深さだと屋内に浸水します。
ハッキリ言うと、津沢地区の小矢部川右岸(東)側に、洪水時の避難所は無いと考えた方が良いです。
ちなみに水島地区❲津沢の北隣❳と松沢地区❲水島の北隣❳には、以前の洪水ハザードマップの頃から既に、洪水時の避難所はありませんでした。
津沢地区で洪水時に使用できる避難所は、南部公民館だけです。
津沢地区の小矢部川左岸(西)側の皆さんは、南部公民館か、西隣の薮波地区のサイクリングターミナル❲公共宿泊施設❳に、避難してください。
ただし移動中は溜め池の決壊と、土砂災害に気を付けなければいけません。
小矢部川右岸(東)側の皆さんは、一体どこの避難所に行けば良いのか、どこか浸水しない場所は無いのかと、困ってしまいます。
小矢部市内なら園芸高校❲水島の北東側❳か大谷中学校❲水島の北側❳、砺波市内なら鷹栖小学校❲津沢の東側❳、南砺市は福野の市街地❲津沢の南東側❳から井波方面❲福野の南東側❳にかけて、浸水しない地域があります。
いずれも距離があり馴染みも無いので、小矢部川右岸(東)側の皆さんは、小矢部川を渡って西隣の薮波地区の、サイクリングターミナルへの避難を考えますが、その場合は小矢部川の、水位の警報レベルを確認してください。
水位レベル4(氾濫危険水位)や水位レベル5(氾濫流の発生)の時に、絶対に小矢部川を渡らないでください。
水位レベル2(氾濫注意水位)か水位レベル3(避難判断水位)のうちに、小矢部川を渡ってください。
水位の警報レベルも、洪水の警報レベルと同様に、常にテレビやラジオやインターネットで、情報収集してほしいのですが、混同しないように注意してください。
次になぜ津沢小学校と津沢中学校は、洪水時の避難所に指定されていないかですが、それは家屋倒壊等氾濫想定区域に、建てられているからです。
この区域では洪水で地面が流出して(地面が削り取られる)、支えが無くなった建物が倒壊したり、洪水の濁流で建物が破壊される可能性があります。
ですからこの区域に住んでいる皆さんは、家が三階建てだからとか、家が鉄筋コンクリートだからとかは、関係なく全員避難してください。
小矢部川の近くにお住まいの方は、自宅が家屋倒壊等氾濫想定区域内か、洪水ハザードマップで確認してください。
Q⑩避難所の食料があるのかが気になります。自分たちで準備できるのは数日分だけだと思います。それ以降食べるような非常食の備蓄は津沢地区のどこにあるのでしょうか。
A⑩結論としては、津沢地区に非常食の備蓄はありません。
小矢部市は地震を想定して、物資を備蓄しています。
大規模地震が発生した場合、小矢部市災害対策本部の指揮で、効率的に必要な物資を各避難所へ送る為に、物資は数ヵ所に集約してあります。
石動(いするぎ)の方❲市役所のある地域❳ばっかりと、腹を立てるかも知れませんが、各所で食料を備蓄したとしても、水没したり流されたりすれば全て無駄ですし、そもそも周囲が冠水した状況で、食料を配る事ができるでしょうか。
完全に消防の救助隊と自衛隊の役割で、もう市役所職員や地域の皆さんの、出る幕ではありません。
このように考えると、分散して食料の備蓄をしていないのは納得できます。
私達は各家庭や避難所に、物資の備蓄をするしかありません。